同じ薬効を持ちながらも副作用が異なるいくつかの分子が見つかった!もしかするとこれらの分子を使えば、薬の副作用のメカニズムが解明できるかもしれない。
でも僕は化学者だし、分子のことしかわからないぞ・・・どうしたらいいだろう。
ボブ太郎さん、それなら私の技術が役立ちますよ!
私の研究では、薬の刺激により活発に働いた細胞を個体レベルで捕らえて、可視化することができます。また、可視化した細胞の遺伝子操作もできます。
副作用が異なる分子を使って全身で比較をすれば、どこの細胞が原因で副作用が起きているかわかるかもしれません。おともしましょう。
それはすごい!ぜひ一緒に研究しましょう!
ボブ太郎さん、実は僕の技術では原因となる細胞は見つけられても細胞の中で起きていることはわからないんだ。薬が細胞に作用したあとに何が起きているか情報を集める必要があるよ。
そうなの!?どうやって集めたらいいんだろう?
ボブ太郎さん、それなら私の技術が役立ちますよ!
私の研究では、薬が作用する受容体がもたらす細胞内のシグナル伝達を網羅的に調べて、作用に関係するたんぱく質を見つけることができます。
副作用が異なる分子を使って細胞内シグナル伝達を網羅的に比較すれば、どのたんぱく質が原因で副作用が起きているかわかるかもしれません。おともしましょう。
それはすごい!ぜひ一緒に研究しましょう!
いやー、ほんとバイオ技術ってすごい!これで副作用を丸裸にできるね!
ボブ太郎さん、原因のタンパク質がわかってもそれだけじゃどうして薬によって副作用が変わるかはわからないですよ。
そうそう、ある細胞であるタンパク質の働きが変わることはわかっても、なんで変わるかはわからないよね。
えっ、そうなの!?じゃあどうやったらそれぞれの分子の違いがわかるんだろう?困ったなー・・・
ボブ太郎さん、それなら私の技術が役立ちますよ!
私の研究では、薬とたんぱく質がくっついた状態(複合体)の写真を撮ることができて、分子よりちっちゃい原子レベルで薬とたんぱく質の相互作用を見ることができますよ。
独自の分子を使って副作用の原因たんぱく質との複合体を解析すれば、どのような分子メカニズムで副作用が起きているかわかるかもしれません。おともしましょう。
それはすごい!ぜひ一緒に研究しましょう!
かくして、
化学のことしかわからないボブ太郎は、
副作用の原因となる細胞を見つける
イヌさん(櫻井先生)、
タンパク質を見つけるキジさん(井上先生)、
分子メカニズムを見つけるサルさん(寿野先生)
の力を借りて、
副作用うごめく鬼ヶ島へと旅立つのでした。
果たしてボブ太郎一行は無事薬の副作用を
解明できるのでしょうか。
続きの物語はまた今度。