A01
寿野チーム
分子レベル
副作用のない医薬品を迅速に開発するという人類の夢を実現するには、薬の標的タンパク質の構造情報を迅速に取得し、それを元にした論理的な創薬へと繋ぐことが重要です。私たちの研究チームでは、X線結晶構造解析やクライオ電子顕微鏡単粒子解析といった技術を駆使して、薬と受容体、さらにはシグナル伝達因子が相互作用した反応状態の構造を明らかにしています。特定のシグナル伝達を引き起こす分子メカニズムを明らかにすることができれば、構造情報を他のチームと共有し、作用に関係する詳細メカニズムの解析や新たな副作用のない医薬品の開発へと展開を目指しています。
A02
井上チーム
細胞レベル
同じ受容体に結合するものの、薬効や副作用が異なる薬が存在します。薬ごとに受容体が発出するシグナル伝達が異なることが、この差異を生み出す要因の1つです。私たちの研究チームは、各種シグナル伝達を発光として可視化する改変タンパク質センサーを開発しています。薬理作用の異なる薬のシグナル伝達パターンをこの技術を使って隅々まで解読することで、薬効や副作用に関わるシグナル伝達経路を絞り込みます。また、コンピュータによる構造計算により薬物分子と受容体タンパク質分子の相互作用様式を調べ、原子レベルでの薬物の作動原理を明らかにします。
A03
櫻井チーム
個体レベル
脳に作用する中枢神経薬の作用を理解して制御するには、薬が脳のどこに作用し、どんな神経回路を活性化するのかを明らかにするが重要です。私たちの研究チームは、薬の投与により活性化した神経細胞を標識し、その神経活動を計測、操作することができる画期的な手法「CANEシステム」を開発しました。この技術を軸として、作用の異なる薬を投与した際の脳の活性化状態を比較することで生理作用特異的な神経回路を見つけ、神経科学ツールを用いた神経活動操作により、特異的な作用を引き起こすメカニズムを明らかにします。
チームメンバー
-
筑波大学
国際統合睡眠医科学研究機構・准教授
櫻井 勝康KATSUYASU SAKURAI神経科学
A04
斉藤チーム
分子創製チーム
私たちの研究チームでは最近、似た構造を持っているのに副作用が大きく異なるいくつかの分子を発見しました。このような切れ味の良い分子は、先進の生命科学技術と組み合わせることで、「受容体のもたらす複雑な生理作用がどのように制御されているのか」という謎を紐解くのに役立ちます。私たちの研究チームは、作用の異なる薬物ライブラリーを創製し、他のチームの技術を情報収集のレンズとして用いることで構造に紐付く作用メカニズムを解析し、薬の主作用と副作用を狙って分離する方法を開発します。
アドバイザー
-
Brian K. Kobilkaスタンフォード大学医学部・教授GPCR構造生物学
-
柳沢 正史筑波大学
国際統合睡眠医科学研究機構・
機構長/教授神経科学、GPCR生理学 -
成田 年星薬科大学・教授、
国立がん研究センター
がん患者病態生理研究分野 分野長オピオイド神経科学 -
長瀬 博筑波大学・名誉教授創薬化学